建築紛争 事例集

民事事件

瑕疵修補・損害賠償請求
不法行為に基づく損害賠償請求

構造欠陥

構造躯体に関し、設計図書と異なる施工がされている場合、施工品質が要求水準に達していない場合、等。安全性に関わる問題であり、補修金額も大きくなることから、裁判でも最も重要な争点となります。
また、設計図書との差異=契約上の合意違反、即ち、瑕疵であるといった指摘がなされることが多いです。この点については、直ちに瑕疵に該当するものではないという反論の余地もありますが、その場合、少なくとも、実際の施工内容で構造体力上の問題は生じていないことを立証できることが前提です。
この場合の基準となるのは、建築基準法であり、それを上回る性能(耐震性能の割増)の契約上の合意がある場合は、その合意水準が基準となります。
また、鉄筋コンクリート構造物については、裁判所が判断しやすい「かぶり厚さ」と「クラックの幅」をもって、短絡的に結論が導かれたとみられるケースも見受けられます。
新築住宅においては、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)により瑕疵担保期間が引渡後10年と長期に渡りますが、期間経過後においても、20年が経過するまでの間、後述する不法行為が成立する可能性があります。
取扱い事例:マンションで構造スリットが不足していた事案(訴訟、調停、相談)、戸建て木造住宅で設計図書と異なる部材・金物を使用していた事案(訴訟、相談多数)、基礎の出来形不良・かぶり厚さ不足が問題となった事案(訴訟多数)、等

漏水

「漏水」自体は瑕疵ではなく、漏水の原因こそが瑕疵として問題になりますが、漏水原因の特定が困難な場合が多く、紛争が長期化する間に建物の損傷が進むケースも少なくありません。
また、大きな地震が発生した後では、漏水の原因が瑕疵なのか、地震なのかという点も争いになります。さらに、補修の結果として建物が新築同様になる場合、施主側に利得があるという見方も可能であり、その点を損害賠償額から控除している裁判例もあります。
なお、雨水浸入については、構造欠陥と同じく、品確法により瑕疵担保期間は10年であり、さらに、引渡から20年間は不法行為を問われる可能性があります。
取扱い事例:木造住宅の外壁・サッシ周りからの漏水とそれによる躯体の腐朽が問題になった事案(訴訟、調停、相談)、マンションの設備配管からの多大な漏水により内装材に著しい損傷が生じた事案(交渉、相談)

不同沈下

軟弱地盤自体は土地の問題ですが、軟弱地盤を原因とする不同沈下で、品確法の告示に定められた5~6/1000を超える傾斜が発生している場合、地盤の性状に見合った基礎が設計・施工されていないとして、瑕疵が認められる可能性が高いのが実情です。また、建物の近くに既存のがけ・安全の確認ができない擁壁等がある場合、原因が特定し難くなります。地盤調査の結果を用い、事後的にでも沈下量計算等を行い、当初設計及び施工に問題がないことを立証することになります。
東日本大震災後には、液状化による不同沈下の責任を問う訴訟も、多数提起されました。裁判所は、東日本大震災と液状化の関連性について、地震の揺れの特殊性が寄与したものと認定しています。
取扱い事例:軟弱地盤における戸建て住宅の不同沈下の事案(訴訟、調停、相談多数)、東日本大震災により液状化被害が生じた事案(訴訟、調停)、同じく震災により擁壁が傾斜した事案(訴訟)

法令違反・仕様違反

契約上、建築基準法に合致することが当然の前提であることから、それに反する施工は、原則として、瑕疵と評価されます。但し、建築確認を経て検査済証を取得しているような明白な違反がない建物で、基準法の適否が問題になるような事案では、それを判断することは容易ではありません。
前述の構造欠陥以外では、建築基準法等の防火性能違反を論点とするものが多くみられます。また、大臣認定を取得した材料・工法について、認定書と異なる施工を行って問題になる事案もしばしばみられます。
取扱い事例:準耐火建築物・省令準耐火建築物の仕様違反(訴訟、相談)、大臣認定・型式適合認定と異なる施工が問題となった事案(相談)、改修工事の法令違反が問題となった事案(訴訟、相談多数)

仕上材の落下

近年問題となっているのは、タイルや外壁、屋根材等の仕上材が劣化し、又は、地震によって、落下するという事案です。
多くの場合、瑕疵担保期間を経過していますが、落下により利用者等に危険を生じさせ得る場合、不法行為責任を負う可能性があります。
取扱い事例:タイル・外装材に落下の危険が生じている事案(調停、相談)、地震時の内装材の落下が問題となった事案(訴訟)

設計瑕疵に関する債務不履行/損害賠償請求

原則として、請負契約時の設計図書をベースに裁判・調停は進められます。
打合せをしたけれど設計図書に書いていない事項、設計図書から変更した事項は、決定(合意)したことの証明が難しいからです。

説明義務違反

取扱い事例:施主要望と異なる設計となることについて説明を怠った事案(訴訟)、特殊な設備の使用方法の制限について説明が十分でなかった事案(調停)

工事予算の超過

取扱い事例:設計完了時に予算を大幅に超過し、その後の減額調整ができなかった事案(訴訟、相談)

設計図書の法令違反

取扱い事例:設計が基準法に抵触していることを看過して確認済証が交付され、工事後に是正を余儀なくされた事案(訴訟、相談)

設計に起因する工期延長

取扱い事例:確認取得時期の遅れ、及び設計に起因する12条5項報告に伴う工事中断により建物供用開始が遅れた事案(調停)

契約解除に基づく出来高算定・報酬清算

取扱い事例:設計完了間際又は完了時に契約が解除され設計報酬額が争われた事案(訴訟、交渉)

行政関係事件

行政処分関係

確認済証取消請求

取扱い事例:近隣住民から建築基準法違反を理由とした確認済証の取消を求められた審査請求事件(処分庁側、事業者側)