発注者・CM関係法務

発注者、及び、発注者を支援するCM・PM会社が遭遇する、設計者、施工者、地権者、近隣住民等との民法上の問題、建築基準法、都市計画法、条例等に関連する問題、行政対応等について、問題解決、リスク回避、業務支援等を行います。

発注者における建築・技術紛争

建築・建設プロジェクトで発生することが多い民事紛争としては、設計・監理者、施工者との関係で、目的物である建築物・土木工作物、設計図書の瑕疵、工期遅延、報酬・代金に関する紛争、解除に伴う清算等を争うものがあります。

建築紛争では、一般に、相手方となる設計・監理者や施工者の側が圧倒的に多くの情報と技術的な知見を有していることが多く、発注者による責任追及は、立証に大きな課題があります。

また、設計と施工を分離する契約においては、設計図書の記載を発注者の指示として施工者が免責を主張することがあり、一方で、設計者が責任を負うとしても、賠償のための資力が十分でないことが多いことから、責任追及が功を奏しないことも少なくありません。
かかる問題を回避するための制度として建築士賠償保険があり、近年の改正建築士法では、建築士の保険加入が努力義務と位置付けられました。但し、標準契約では保険金の支払いが目的物に滅失・棄損が生じた場合に限られるなど、適用の範囲に注意が必要です。

発注者の能力不足・マンパワー不足を補い、プロジェクトの様々なリスクを回避させるための方策として、昨今、CM(コンストラクション・マネジメント)を導入するケースも増えています。

CM関係法務

CM(コンストラクション・マネジメント)は、大まかにいうと、設計、施工という従来の役割分担とは異なる第三者の専門家が、品質・コスト・工期等のプロジェクト全体のマネジメントを発注者から受託し、もって発注者を支援するというものです(契約に応じて、事業計画や維持管理など、建築プロジェクトの川上から川下までを広く受け持ちます)。
また、マネジメントを行う者(組織)を、CMR(またはCMr)といいます。

CMに特有の法律問題としては、まず、CM自身の契約(準委任契約と解されます)や発注者に対する法的責任(債務不履行責任)に関するものがあります。
加えて、CMRは、プロジェクトの進行に当たり、設計や施工に対する法的規制を把握している必要があり、さらに、発注者を支援する上で、発注者と設計者・監理者との間の業務委託契約、発注者と施工者との間の請負契約について理解することも必要となります。
以上のように、CM業務には、広範かつ高いレベルでの業務遂行が期待されています。建築の専門家としての高度な注意義務が課されていると考えられます。

一方、一般社会では、CMの認知・理解は、まだあまり進んでいません。
そのため、関係当事者間において、役割や責任の分担をめぐるトラブルも考えられるところです。
また、仮に裁判に関与せざるを得なくなった場合には、裁判所にCMの業務や責任分担を正確に理解させことがなかなか難しいものと思われます。

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