二つの大規模火災 その1・アスクル火災


平成28年末の糸魚川、本年2月のアスクルの物流倉庫、更に6月のロンドンの集合住宅と、稀に見るような大規模火災の発生が続いています。

火災は、最も身近で恐ろしい災害ですが、建築基準法や消防法令・条例の厳格化が進み、また様々な努力によって、ここ10年では出火件数、焼失面積、人的被害等が3/4程度に減少しています。それだけに、このような大規模火災が続くと、不安を覚えます。

今回は、大規模建物内での延焼という点からアスクルの物流倉庫とロンドン集合住宅を取り上げ、原因に関する報告を紹介します。

アスクル火災の報告書が指摘している点

まず、物流倉庫の方ですが、平成29年6月末に消防庁から公表された三芳町倉庫火災報告書では、火災が大規模化した原因として、以下の点を挙げています。

  1. 初期消火の失敗と通報の遅れ
    屋外消火栓の使い方を誤った(ポンプの起動ボタンを押さなかった)。
    消防への通報が、初期消火より後回しになった(自火報から7分遅れで通報)。
  2. 防火シャッターが閉まらず、防火区画が不形成
    物品の残置もあったが、それよりも多くの箇所で、火災によって電線がショートしたことによって、シャッターや、シャッター連動のコンベアの折り畳みのシステムが作動せず、閉鎖障害が生じて、防火シャッターが完全に閉まらなかった。
    正常に閉まらなかったシャッターは、全体の約6割に上っている。
  3. 消火活動が困難だったこと
    開口部が少ない等の理由で内部進入が容易でなく、一方、面積が非常に大きいことから、外部からの放水も功を奏さなかった。

防火区画の形成は基本ですので、2.の対策が必要なのはもちろんですが、近年、物流倉庫等が極めて大規模化しており(5万㎡を超えるものがこの10年間で3倍の数になっている)、今後、3.の点への考慮が事業者や設計者にも求められる可能性があります。

一方、1.の初期消火・通報の問題はありましたが、速やかに避難は行われ、人的被害が最小限だったのが幸いです。
この点は、後述するロンドンの件と対照的です。

その2のロンドン火災に続きます。